新会社法の施行により、有限会社という会社類型はなくなります。そこで、既存の有限会社は次の 2つの方法を選択することになります。 (1) そのまま社名を変更せず、有限会社として存続する (A) 特例有限会社 新会社法により有限会社法という法律はなくなりますが、有限会社の名称で会社を存続させる ことはできます。そのような会社を 「特例有限会社」 といいます。 特例有限会社は自動的に 「株式譲渡制限会社」=非公開会社、かつ、取締役会非設置会社 となります。 (B) 特例有限会社のメリット 特例有限会社は従来の有限会社のメリットをそのまま受け継ぐことができます。 a) 取締役・監査役の任期の制限がないので、役員の変更がなければ役員変更登記を行う必 要がありません。 b) 決算公告の義務がありません。 (C) 用語 有限会社の名称を使用しても法律上は株式会社であるため、従来の有限会社に使用されて いた用語については次のようにみなされます。 ⅰ) 出資者:社員 → 株主 ⅱ) 持分 → 株式 ⅲ) 出資1口 → 1株 ⅳ) 社員総会 → 株主総会 有限会社であっても社員(社員総会)、持分、出資1口という表現はしなくなります。 (2) 株式会社に社名変更をして、通常の株式会社になる (A) 増資する必要はない 新会社法では資本金の制約がないため、既存の有限会社は現在の資本金のまま増資する ことなく有限会社から株式会社に社名変更し、株式会社となることができます。 ただし、上述した有限会社の特典を受けることはできません。 (B) 事業年度は連続する 登記手続においては有限会社の解散登記と株式会社の設立登記を同時に行うことになりま す。しかし、税務上は解散・設立がなかったものとして扱われ、事業年度は連続したものとされ ます。