H25_所得税

平成25年度税制改正 <<所得税>>

1.税率構造の見直し
  (1) 最高税率の引き上げ
   課税所得が4000万円超の場合の税率は45%とされます。従って、最高税率は従来の
   40%から45%に引き上げ
られることになります。
  (2) 適用時期
    平成27年分以降の所得税について適用されます。
2.住宅ローン控除の見直し
   消費税率の引き上げを条件として以下のような改正が行われます。
  (1) 適用期限が平成29年12月31日まで4年間延長されます。
  (2) 平成26年4月以降に居住をした場合は借入限度額が4000万円となります。
    (平成26年3月31日以前は2000万円)
   イ 一般住宅の場合(控除期間は10年)
居住年 借入限度額 控除率 各年の控除限度額 最大控除額
平成26年
1月~3月
2000万円 1.0% 20万円 200万円
平成26年4月~
平成29年12月
4000万円 1.0% 40万円 400万円
   ロ 認定住宅の場合(控除期間は10年)
居住年 借入限度額 控除率 各年の控除限度額 最大控除額
平成26年
1月~3月
3000万円 1.0% 30万円 300万円
平成26年4月~
平成29年12月
5000万円 1.0% 50万円 500万円
      (注) 認定住宅とは認定長期有料住宅及び認定低炭素住宅をいいます。
   (注) 上記イ・ロ共に従来の消費税率(5%)で購入・取得した場合は、住宅ローン控除も
      改正前の制度が適用されます。( 下記改修等工事についても同様 )
  (3) その他各種住宅ローン控除の改正
   以下の各制度についても適用期限の延長と控除額等の引き上げが行われます。
   (a) 住宅特定改修特別税額控除
      適用期限(平成24年12月31日)が平成29年12月31日まで延長され、
      平成26年4月1日以降の改修工事について控除限度額が引き上げられます。
      (ⅰ) 省エネ改修工事  200万円→250万円
      (ⅱ) 省エネ改修+太陽光発電設備工事  300万円→350万円
      (ⅲ) バリアフリー改修工事   150万円→200万円
   (b) 住宅耐震改修特別控除
      適用期限(平成25年12月31日)が平成29年12月31日まで延長され、
      平成26年4月1日以降の改修工事について控除限度額が引き上げられます。
      (ⅰ) 耐震改修工事  200万円→250万円
   (c) 特定増改築等住宅借入金等特別控除
      適用期限(平成25年12月31日)が平成29年12月31日まで延長され、
      平成26年4月1日以降の増改築工事について控除限度額が改正されます。
      (ⅰ) 特定増改築等限度額(控除率2%)  200万円→250万円
      (ⅱ) その他の借入限度額(控除率1%)  800万円→750万円
      (注) 特定増改築とは省エネ改修工事及びバリアフリー改修工事をいいます。
   (d) 認定長期優良住宅新築等特別控除
      適用期限の4年間の延長と控除限度額の拡充(50万円→65万円)が行われます。
3.少額投資非課税制度の拡充
   上場株式等に係る配当・譲渡等に係る10%軽減税率の特例が平成25年12月31日をもっ
  て廃止され、平成26年1月より本則(20%)に戻ることに伴い、少額投資非課税制度(日本版
  ISA=NISA)が拡充されます。
  (1) 制度改正の内容
   改正前 投資可能期間  ・・・ 平成26年から平成28年までの3年間
         口座数        ・・・ 最大3口座
         非課税投資総額 ・・・ 最大300万円
         非課税期間    ・・・ 10年間
   改正後 投資可能期間  ・・・ 平成26年から平成35年までの10年間
         口座数        ・・・ 最大5口座
         非課税投資総額 ・・・ 最大500万円
         非課税期間    ・・・ 5年間

  (2) 適用時期
   平成26年1月1日からの適用となります。
4.公社債税制の見直し
 (1) 特定公社債と一般公社債の区分
  (a) 公社債等を特定公社債等と一般公社債等に区分し、特定公社債等の利子所得・譲渡所
    得については20%(所得税15%、住民税5%)の申告分離課税
とします。
  (b) 特定公社債等の償還及び一部解約による差損益は譲渡所得とみなされます。
  (c) 特定公社債等の利子所得・譲渡所得について、上場株式等の配当・譲渡所得との損益通
    算
が認められます。
    また、上記損益通算後に更に特定公社債等の譲渡損失がある場合は3年間の繰越控除
    が認められます。
  (d) 一般公社債等の利子所得は20%源泉分離課税が維持されます。
     ただし、同族会社の役員がその同族会社から受ける社債利子は総合課税となります。
  (e) 一般公社債等の譲渡所得は20%の申告分離課税となります。
  (f) 一般公社債等の償還及び一部解約による差損益は譲渡所得とみなされます。
  (g) その他各種見直しが行われます。
 (2) 用語の定義
  (a) 特定公社債とは国債、地方債、外国国債、外国地方債、公募公社債、上場公社債などを
    いいます。
  (b) 特定公社債等とは以下のものをいいます。
     (ⅰ) 特定公社債
     (ⅱ) 公募公社債投資信託の受益権
     (ⅲ) 証券投資信託以外の公募投資信託の受益権
     (ⅳ) 特定目的信託の社債的受益権で公募のもの
  (c) 一般公社債等とは以下のものをいいます。
     (ⅰ) 特定公社債以外の公社債
     (ⅱ) 私募公社債投資信託の受益権
     (ⅲ) 証券投資信託以外の私募投資信託の受益権
     (ⅳ) 特定目的信託の社債的受益権で私募のもの
 (3) 適用時期
   平成28年1月1日以後の支払いから適用されます。
5.株式等の譲渡所得課税の分離
  株式等に係る譲渡所得等の分離課税制度について以下のように区分することとされ、両者間
  の損益通算は認められなくなります。

  (a) 上場株式等に係る譲渡所得等
    特定公社債等及び上場株式等に係る譲渡所得等の分離課税
    上場株式等の配当所得及び特定公社債の利子所得との損益通算ができます。
  (b) 非上場株式等に係る譲渡所得等
    一般公社債等及び非上場株式等に係る譲渡所得等の分離課税
    配当所得との損益通算はできません。
6.社会保険診療報酬の所得計算の課税の特例
  (1) 適用要件の追加
    概算経費率により所得計算を行うことができる範囲が追加されました。
   (a) 改正前の適用要件
     社会保険診療の金額が5,000万円以下
   (b) 改正後の適用要件
     社会保険診療の金額が5,000万円以下であり、かつ、医業又は歯科医業から生ずる
     事業所得に係る総収入金額(自由診療を含む)が7,000万円以下
  (2) 適用時期
    平成26年分以降の所得税について適用されます。
  (3) 法人の場合
    法人については平成25年4月1日以後開始事業年度から適用されます。

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