1.金融証券税制の改正 (1) 配当所得と譲渡所得について(金融と所得の一体化) (a) 配当所得と譲渡損失の損益通算 平成21年より譲渡所得等の譲渡損失と申告分離課税を選択した配当所得との間での 損益通算の特例が創設されます。 前年以前3年内の株式等の繰越譲渡損失との損益通算もできます。 なお、通算できなかった譲渡損失は、その後3年間の繰越控除が可能となります。 (b) 平成22年以後の損益通算 平成22年1月1日からは、特定口座の「源泉徴収あり口座」にて上場株式等の配当等を受入 れることで、特定口座内にて上場株式等の譲渡損失との損益通算が自動的に行われます。 なお、「源泉徴収なし口座」では源泉徴収後の配当等を受取る事になりますが、損益通算は 行われません 源泉徴収選択口座内で損益通算を済ませる場合は、その年の最初の売却・解約・償還まで に証券会社等に対して所定の手続きを行なう必要があります。 (c) 軽減税率の廃止 上場株式等の譲渡所得等及び配当所得の軽減税率(原則20%→軽減10%)は平成 20年12月31日の期限到来をもって廃止され、平成21年度より原則20%(所得税15%、 住民税5%)に戻ります。 (d) 2年間の特例措置 ただし、特例措置として平成21年と平成22年の2年間は下記のものについて10% (所得税7%、住民税3%)の軽減税率が継続されます。 ① 譲渡所得等については500万円以下の部分 ② 配当所得については100万円以下の部分 (ただし大口株主が受けるものを除く) (2) 配当所得についての特例 (a) 上場株式等の配当等(大口株主以外)の源泉徴収税率については、上記2年間は10% の軽減税率とされます。 (b) 軽減税率の対象となった上場株式等の配当等の合計額 (年間支払額が1万円以下の 銘柄に係るものを除く) が100万円を超える場合は、申告不要の特例は適用されず、申 告分離課税又は総合課税のいずれかで確定申告しなければなりません。 (c) 申告分離課税を選択する際、上記2年間に限り上場株式等の配当所得(大口株主が受 けるもの以外)のうち100万円以下の部分については10%の軽減税率が適用され、 100万円を超える部分についてのみ20%の原則税率となります。 (d) 上場株式の配当等の合計額が100万円以下であれば、申告分離課税、総合課税、申告 不要の特例のいずれかを選択適用することとなります。 なお、配当控除は総合課税の場合のみ適用されます。 (3) 譲渡所得についての特例 (a) この2年間の上場株式等の譲渡についても譲渡所得の合計額 が500万円を超える場 合は、申告不要の特例は適用されず、特定口座で「源泉徴収あり」を選択した場合でも確 定申告しなければなりません。 2.減価償却制度 法人税と同様の減価償却(耐用年数)関係の改正があります。 所得税においては平成21年度分の確定申告から適用されます。 法人税改正のページ を参照して下さい。 3.住宅の省エネ改修促進税制 (a) 概要 平成20年4月1日から平成20年12月31日までの間に居住用家屋について省エネ改修 工事を含む増改築工事を行った場合、その住宅ローン残高の一定割合が所得税額から控除 されます。 (b) 住宅ローン残高の上限は1000万円、工事費は30万円超が対象となります。 (c) 現行の住宅ローン控除(増改築)との選択適用となります。