平成27年度税制改正 <<法人税>> 1.法人税率の改正 (1)法人税率の引き下げ 法人税率が以下のように引き下げられます。 改正前・・・25.5% 改正後・・・23.9% (2)適用関係 平成27年4月1日以後に開始する事業年度から適用されます。 (3)中小法人の軽減税率の特例の延長 年800万円以下の所得について19%から15%に引き下げられている中小法人の軽減 税率の特例は2年延長されます。 同様に公益法人等や協同組合等の軽減税率の特例についても2年延長されます。 (4)法人実効税率 今回の法人税、事業税等の改正により法人の実効税率(税効果を加味した法人税、地方 税の合算税率)は以下のようになります。 現行 平成27年度 平成28年度 34.62% 32.11% 31.33% 2.欠損金の繰越控除限度額の引き下げ (1)青色欠損金の繰越控除限度額の引き下げ 青色申告法人の欠損金の繰越控除限度額が以下のように段階的に引き下げられます。 (中小法人については下記参照) a)平成27年4月1日から平成29年3月31日までの間に開始する事業年度 繰越控除前の所得の65% b)平成29年4月1日以後に開始する事業年度 繰越控除前の所得の50% (注)新設法人については設立後7年間は所得の100%を控除できます。 (2)中小法人等の特例 中小法人等については従来どおり繰越控除前の所得の100%が控除できます。 (注)中小法人等とは普通法人のうち資本金が1億円以下の法人及び公益法人等、協同 組合等をいいます。 3.欠損金の繰越控除期間の改正 (1)繰越控除期間の延長 a)青色欠損金の繰越期間が10年(現行9年)に延長されます。 b)上記欠損金の繰越控除期間の延長に伴い、その適用に係る帳簿書類の保存期間が10年 に延長されます。 (2)適用関係 平成29年4月1日以後に開始する事業年度において生じた欠損金額について適用されま す。 4.受取配当等の益金不算入の改正 (1)益金不算入割合の引き下げ 不算入割合が以下のようになり、結果的に益金不算入額が引き下げられます。 ⅰ) 完全子法人株式等(株式等保有割合100%) ・・・ 100分の100 ⅱ) 関連法人株式等(株式等保有割合3分の1超) ・・・ 100分の100 ⅲ) 非支配目的株式等(株式等保有割合5%以下) ・・・ 100分の20 ⅳ) その他の株式等 ・・・ 100分の50 (2)一定の投資信託に係る益金算入額の見直し a)公社債投資信託以外の証券投資信託の収益分配金については、その全額が益金算入 されます。 b)特定株式投資信託の収益分配金については100分の20相当額が益金不算入となりま す。 (3)控除負債利子の計算方法の見直し a)上記(1)の (ⅲ) 非支配目的株式等 と (ⅳ)その他の株式 については負債利子がある 場合の控除計算の対象から除外されます。 b)控除負債利子の計算方法[簡便法]の見直し 関連法人株式等に係る負債利子控除額の計算の簡便法の基準年度が 平成27年4月1日から平成29年3月31日までの間に開始する事業年度 となります。 5.試験研究費の税額控除制度の見直し (1)控除税額の上限を当期法人税額の30%に引き上げる措置は適用期限の到来をもって廃 止され、原則どおり20%となります。 (2)特別試験研修費に係る税額控除制度について各種見直しが行われます。 (3)試験研究費の総額に係る税額控除制度及び中小企業技術基盤強化税制の控除税額の 上限が当期法人税額の25%となります。 (4)繰越税額控除限度超過額に係る税額控除制度が廃止されます。 (繰越中小企業者等税額控除限度超過額についても同様) 6. 所得拡大促進税制の見直し、拡充 雇用者給与等支給増加割合の要件が緩和され、以下のように改正されます。 (1)中小企業者等 平成28年4月1日以後に開始する適用年度・・・3%以上(現行5%以上) (2)上記以外の法人 平成28年4月1日から平成29年3月31日までの間に開始する適用年度・・・4%以上 (現行5%以上) 7. 地方拠点強化税制の創設 地方拠点建物等を取得した場合の特別償却又は税額控除制度が創設されます。 (1)対象期間 地域再生法の改正法施行日から平成30年3月31日までの間 (2)対象行為 地方拠点強化実施計画に基づく建物等の取得 (3)優遇措置 (ⅰ)取得価額の15%の特別償却又は取得価額の2%の税額控除 (ⅱ)特定地域から大都市以外の地域への移転等の場合は取得価額の25%の特別償却 又は取得価額の4%の税額控除 なお、平成29年3月31日までの間に計画の承認を受けた法人は更なる優遇措置があり ます。 8.その他の改正項目 (1)雇用促進税制 一定の要件を満たす場合、最高で以下の金額の税額控除ができます。 増加雇用者数 × 50万円 (2)貸倒引当金の特例について a)改正項目 実質的に債権とみられない金額の計算方法としての簡便法 b)改正内容 基準年度が平成27年4月1日から平成29年3月31日までの間に開始した各事業年度に 見直されます。 (3)環境関連投資促進税制(グリーン投資減税) エネルギー環境負荷低減推進設備等を取得した場合の即時償却制度について、対象資産 から太陽光発電設備が除外された上、適用期限が1年延長されます。