1.会社設立(法人成り)のメリット a) 社会的信用 会社組織とすることにより、取引先の開拓、金融機関からの資金調達、従業員の募集等 に際して対外的信用を得やすく、有利になることがあります。 b) 節税メリット(税率) 個人の所得税は累進課税になっており、所得金額が大きくなると税額が加速度的に増 えていきます。住民税を含めた限界税率は、以下のとおりです。 課税所得 0~900万円 900万円~1800万円 1800万円超 限界税率 15~33% 43% 50% 一方、会社の税率(標準税率)は 課税所得 0~400万円 400万円~800万円 800万円超 法人税・住民税 25.8% 25.8% 35.2% 事業税 5% 7.3% 9.6% 上記のうち、事業税は経費(損金)扱いされますので、それを考慮して上での会社の実 効税率(概算)は 課税所得 0~400万円 400万円~800万円 800万円超 実効税率 29.3% 30.8% 40.9% より厳密に比較分析するには、個人事業税、法人住民税の標準税率超過分、会社の規 模(資本金、事業所数)等を考慮しなければなりませんが、個人事業者の所得(各種控除 後の金額)がおおむね900万円を超えれば、税率面で法人有利といえるでしょう。 法人所得分を役員報酬として支給すれば、900万円程の所得がなくても法人成りによ る節税は可能です。 c) 節税メリット(給与所得控除) 個人事業における事業所得分を法人では給与(役員報酬)として支払うことにより、給与 所得控除分の節税メリットがあります。 ただし、平成18年度税制改正で給与所得控除分の損金不算入制度ができたため、所 得800万円を超える法人についてはこの部分の節税メリットを受けられない場合があり ます。 2.会社設立(法人成り)のデメリット a) 赤字決算に陥りやすく、資金調達が難しくなる場合がある 会社の業績悪化により、赤字決算を余儀なくされる可能性が高くなります。銀行等の金 融機関は赤字会社に対する融資を厳しく査定しますので借入が困難になることがありま す。 b) 決算、申告業務が複雑になる 個人事業においては白色申告ができ、また、青色申告の場合で も決算書、申告書は比較的容易に作成できるが、法人税申告書 は専門家でなければ出来ない内容が多く、複雑である。 c) 増税デメリット 交際費に関しては、個人の場合は全額経費算入出来るが、法人 は限度額が設定される。また、赤字の場合、法人住民税の均等 割が最低でも7万円課税される。