平成24年度税制改正 <<所得税>> 1.給与所得控除の見直し (A) 改正の概要 給与収入金額が1500万円超の場合の給与所得控除は一律245万円となります。 (ⅰ) 給与所得控除額(改正前) ◎ 給与収入が1000万円以上 給与所得控除 = 額給与収入 × 5% + 170万円 (ⅱ) 給与所得控除額(改正後) ◎ 給与収入が1000万円~1500万円 給与所得控除 = 額給与収入 × 5% + 170万円 ◎ 給与収入が1500万円超 給与所得控除は一律245万円 (B) 適用関係 平成25年分の所得税から適用されます。 なお、住民税については平成26年度からの適用となります。 2.退職所得課税の見直し 勤続年数5年以下の役員等の退職所得の2分の1課税が廃止されます。 (A) 2分の1課税の廃止 特定役員退職手当等に係る退職所得の金額は、以下のように改正されます。 退職所得(改正前) ⇒ (退職手当等の収入金額 - 退職所得控除額) × 1/2 退職所得(改正後) ⇒ (退職手当等の収入金額 - 退職所得控除額) (B) 特定役員退職手当等 (ⅰ) 役員等の勤続年数が5年以下 (ⅱ) 役員等の範囲 (a) 法人税法に規定する役員 (b) 国会議員、地方公共団体の議会の議員 (c) 国家公務員、地方公務員 (ⅲ) 役員等としての勤続年数に対応する退職手当等として支払を受けるもの (C) 勤続年数の端数処理 勤続年数の計算期間に1年未満の端数が生じたときは、1年として計算します。 (D) 使用人と役員とを兼務する場合 重複勤続年数における特定役員退職所得控除額は勤続年数1年につき20万円となります。 重複勤続年数とは、特定役員等勤続期間と一般勤続期間が重複している期間(年数)をいい ます。 (E) 適用関係 平成25年分の所得税から適用され、住民税は平成25年1月1日以後に支払われるもの から適用されます。 3.特定支出控除制度の拡充 (A) 給与所得控除額の計算方法の見直し (ⅰ) 給与等の収入金額が1500万円以下の場合 特定支出の額 > 給与所得控除額 × 1/2 である場合に 給与所得控除額 = 本来の給与所得控除額 +( 特定支出の額-給与所得控除額 × 1/2 ) (ⅱ) 給与等の収入金額が1500万円超の場合 特定支出の額 > 125万円 である場合に 給与所得控除額 = 本来の給与所得控除額 +(特定支出の額-125万円) (B) 特定支出の範囲の見直し 特定支出の範囲に以下の支出が追加されました。 (ⅰ) 弁護士・公認会計士・税理士等の資格の取得費 (ⅱ) その支出が職務遂行上直接必要なものとして給与等の支払者より証明された以下の 支出(65万円を上限とする) (a) 書籍、定期刊行物等職務に関連する図書の購入費 (b) 制服・事務服等勤務場所で着用する衣服の購入費 (c) 交際費、接待費等で職務上関係のある者に対する接待・贈答等の費用 (C) 適用関係 平成25年分の所得税から適用されます。 4.住宅取得等特別控除制度の改正 (A) 認定低炭素住宅に係る住宅借入金等の所得税額の特別控除制度の創設 居住年 控除期間 住宅借入金等の年末残高の限度額 控除率 平成24年 10年間 4000万円 1.0% 平成25年 10年間 3000万円 1.0% (B) 認定長期有料住宅の新築等に係る所得税額の特別控除の改正 税額控除の上限を100万円から50万円に引き下げた。 5.譲渡所得関連(適用期限の延長等) (1) 特定居住用財産の買換えの場合の長期譲渡所得の特例 譲渡資産に係る対価の上限額を2億円から1億5千万円に引き下げ、平成25年12月 31日まで2年間延長されます。 (2) 平成25年12月31日まで延長 (ⅰ) 居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除 (ⅱ) 特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除 (3) 特定事業用資産の買換えの場合等の譲渡所得の課税の特例 適用期限が3年延長され、対象資産の見直しがされました。 6.源泉所得税の「納期限の特例」の廃止 (1) 源泉所得税の「納期の特例」の承認を受けている源泉徴収義務者が7月から12月までの 間に徴収した源泉所得税を納付する場合の納期限が、これまでの1月10日から1月20日 に変更されました。 (2) これに伴い、「納期の特例」適用者に係る「納期限の特例」の制度は廃止されました。