1.ふるさと納税(個人住民税) (1) 背景と概要 個人住民税は現在所在の市町村に納めるものですが、これを生まれ故郷の市町村に納税 することができる 「ふるさと納税制度」 が創設されました。 今回の税制改正では生まれ故郷だけでなく、47都道府県と全国市区町村のどの自治体に 対しても納税できる仕組みとなりました。 納付制度の仕組みは納税額を分割する方式ではなく、税額控除を利用した寄付金控除方式 となっています。 ただし、この寄付金控除によれば控除対象外となる5000円のほか、税額控除の控除率が 60%から100%となっています。100%未満の場合は所得税の寄付金控除が利用できます が、いずれにしても寄付金額=税額控除額とはならないので注意が必要です。 (2) 控除対象寄付金の拡大 ① 寄付金控除の対象に都道府県又は市区町村が条例により指定した寄付金(地域における 住民の福祉の増進に寄与するもの)が追加されます。 ② 適用対象寄付金に係る税額控除率が都道府県民税について4%、市長村民税について 6%となります。 (現行は所得控除) ③ 寄付金控除の控除対象限度額が、総所得金額の30%(現行25%)に引き上げられます。 ④ 寄付金控除の適用下限額が5000円(現行10万円)に引き下げられます。 (3) 地方公共団体に対する寄付金 ① 都道府県又は市区町村に対する寄付金は前記の税額控除に加え、下記の税額控除がで きます。 ② 控除税額 (ⅰ) 道府県民税 : [(寄付金額 - 5000円)× (90-A)% ] (注2) × 2/5 (ⅱ) 市町村民税 : [(寄付金額 - 5000円)× (90-A)% ] (注2) × 3/5 (注1) A→寄付をした者の所得税の限界税率 (注2) 個人住民税所得割額の10分の1を限度とする 2.法人事業税の税率の改正 会社区分(普通法人) 所得区分 改正前 改正後 資本金1億円超 年400万円以下 3.8% 1.5% 年400万円超800万円以下 5.5% 2.2% 年800万円超 7.2% 2.9% 資本金1億円以下 年400万円以下 5.0% 2.7% 年400万円超800万円以下 7.3% 4.0% 年800万円超 9.6% 5.3% (注1) 適用時期 平成20年10月1日以後に開始する事業年度から適用されます。 (注2) 特別法人、収入金額課税法人は省略しています。 (注3) 清算所得の税率は年800万円超の税率と同じです。 3.地方法人特別税の創設 (1) 地方法人特別税 法人事業税の税率の引き下げ分に対応して地方法人特別税が創設されます。 地方法人特別税の賦課徴収(申告・納税)は法人事業税と併せて行われます。 地方法人特別税は法律上国税ですが、手続きとしては各自治体が国に代わって徴収し、そ れを自治体が国へ納める仕組みとなっています。 (2) 納税義務者・・・法人事業税の納税義務者 (3) 課税標準 ・・・標準税率により計算した(事業税の)所得割額又は収入割額 (4) 税率 ① 付加価値割額、資本割額及び所得割額の合計額によって法人事業税を課税される法人 ・・・所得割額に対する税率→148% ② 所得割額によって法人事業税を課税される法人 ・・・所得割額に対する税率→81% ③ 収入割額によって法人事業税を課税される法人 ・・・収入割額に対する税率→81% (5) 適用時期 平成20年10月1日以後に開始する事業年度から適用されます。 事業年度が1年の場合、9月決算法人の「平成21年5月の予定納税」分から適用されます。 4.地方法人特別譲与税の創設 (1) 法人事業税と併せて徴収された地方法人特別税は、下記(2)の按分基準に基づき全額が 再び都道府県に譲与されます。 この税金を地方法人特別譲与税といいます。 (2) 按分基準 (地方法人特別税の)1/2・・・各都道府県の人口(直近の国勢調査に基づく) (地方法人特別税の)1/2・・・各都道府県の従業者数