1.減価償却制度 (耐用年数の変更) (1) 法定耐用年数区分の簡素化と耐用年数の見直し 現行の機械及び装置の法定耐用年数区分は390区分ですが、これが55区分に簡素化さ れます。 この新しい資産区分は日本標準産業分類の中分類を基準としており、勘定科目として機械 装置に含まれないものもあります。また、区分の簡素化、大括り化と共に耐用年数の見直しを 行い、多くの資産が短縮化されています。 (2) 適用期日と適用範囲 (a) 平成20年4月1日以後開始する事業年度について適用されます。 (b) 新たに取得する減価償却資産に限らず、既存の減価償却資産についても適用されます。 ⇒⇒ 新耐用年数表 をご参照下さい。 (3) 耐用年数の短縮化申請手続の簡素化 耐用年数の短縮特例制度について、一度短縮特例の承認を受けた設備を取得した時は再 度の承認は不要となり届出のみとするなど申請手続が簡素化されました。 2.工事進行基準の適用範囲 (1) 従来の制度の概要 工事進行基準の強制適用となる 「長期大規模工事」 について、従来は工事期間が2年 以上かつ請負対価の額が50億円以上の工事とされており、その他の工事(赤字工事を除 く)については工事完成基準と工事進行基準のいずれを適用しても良いとされていました。 (2) 改正点 工事進行基準の強制適用の範囲を「工事期間が1年以上かつ請負対価が10億円以上」 へと引き下げると共に、赤字工事やソフトウェアの受託開発についても同基準を適用するこ とができるようになりました。 (3) 適用関係 平成20年4月1日以後開始する事業年度において着手する工事ついて適用されます。 3.人材投資促進税制 (教育訓練費の税額控除) (1) 改正点 (a) 教育訓練費の税額控除制度が増加額型から総額型へ改正されると共に、適用企業が 中小企業のみとなり、大企業についてこの制度は廃止されます。 (b) この制度は中小企業等基盤強化税制の中に位置づけられます。 (2) 税額控除額 (ⅰ) 税額控除額 = 教育訓練費総額 × 税額控除率 (ⅱ) 税額控除率 = [ 8% +( 教育訓練比率 -0.15% )× 0.4 ] (ⅲ) 教育訓練比率 = ( 教育訓練費の額 / 労務費の額 ) (ⅳ) 教育訓練比率が0.15%未満の場合は適用できません。 (ⅴ) 控除率の上限は12%(教育訓練比率0.25%)となります。 (ⅵ) 労務費の額には給与、賞与、法定福利費、福利厚生費、教育訓練費が含まれます。 (3) 適用関係 平成20年4月1日から平成21年3月31日までの間に開始する事業年度が適用対象となり ます。 4.その他の改正 (1) 研究開発促進税制(試験研究費の税額控除) 試験研究費の税額控除制度において従来の総額型、増加型のほか高水準型が加わり、 税額控除の上限が法人税額の20%から最大30%に引き上げられました。 平成20年4月1日から平成22年3月31日までに開始する各事業年度において適用さ れます。 (2) 情報基盤強化税制 対象となるソフトウェアの範囲を拡大し、中小企業については投資下限額を現行の300 万円から70万円に引下げられました。 平成20年4月1日以後に終了する事業年度から適用されますが、取得価額要件について は平成20年4月1日以後に取得した資産が対象となります。 5.措置法の諸制度の延長 以下の措置法上の制度が平成22年3月31日まで2年間延長されます。 (ⅰ) 中小企業等投資促進税制 (ⅱ) 交際費等の損金不算入制度 (ⅲ) 少額減価償却資産の即時償却制度 (ⅳ) 欠損金の繰戻し還付制度の適用停止措置 (ⅴ) その他