1.修正申告と更正の請求
税務署に提出した申告書に誤り等を発見した時、それを是正する手段として 「 修正申告 」
と 「 更正の請求 」 があります。
(1) 修正申告
申告書の税額、課税標準などが過少であるためこれを訂正し、結果的に追加納税に至る
場合には修正申告をします。この場合は納税者の自主的な行為となり、修正申告と納税だけ
で手続は完結します。
(2) 更正の請求
申告書の税額、課税標準などが過大であるためこれを訂正し、結果的に税金の還付に至
る場合には更正の請求をします。この手続は税務官庁に対する税金の還付請求を意味しま
すので更正の請求をして税務署にその是正措置を委ねることになります。
更正とは税務署が正しい税額に是正することをいいますが、それを請求するという手続をと
ります。
2.更正の請求の手続
「更正の請求書」に誤りの内容等を記載して税務署長に提出します。
3.提出時期
(1) 原則として法定申告期限から1年以内
(2) 申告期限が延長されている場合にはその提出期限から1年以内
(3) 法定申告期限後に還付を受けるための申告をしている場合は、その申告書を提出した日
から1年以内
(4) 提出期限が土・日・祝日等の場合は、これらの日の翌日が期限となります。
4.更正の請求の各種ケース
(1) 納付税額が過大である場合のほか、次のような場合もあります。
@ 税額の変動はないが課税標準が過大であった
A 純損失、雑損失、繰越損失の金額が過少であった (所得税の場合)
B 還付金額が過少であった
C 還付金額又は欠損金額の記載がなかった
(2) 「 決定 」 を受けた場合
確定申告をしなかったため 「 決定 」 を受け、更にその決定の内容に誤り等があった場合に
も更正の請求により税額等を訂正することができます。
(3) 後発的理由に基づく更正の請求
当初の申告をした後にその申告内容とは異なる判決、和解、更正、決定などの外部的な事
由が発生した場合には、このような後発的事由の発生後2ケ月以内に限り、更正の請求がで
きます。
5.職権更正
(1) 更正の請求期限を過ぎた後でも、税務署長の職権による減額更正が認められています。
(2) 法定申告期限から5年以内に限ります。
(3) この場合、税務署長に対して 「 嘆願書 」 等を提出します。
6.源泉所得税の還付申告
(1) 以下の場合のように源泉所得税を納付したのみで確定申告をしていない場合には還付申
告を行うことにより税金の還付を受けられます。この場合は5年前に遡って還付申告を行うこ
とができます。
@ 年末調整をしただけで確定申告をしていなかった給与所得者
A 年末調整もせず、確定申告もしていなかった給与所得者
B 公的年金等の受給者で確定申告をしていなかった者
(2) 上記の場合に行う還付申告は更正の請求ではなく、還付を伴う確定申告 ( 期限後申告 )
となります。
従って、1年以上の過去に遡って医療費控除や扶養控除等各種控除を適用することにより
税金の還付を受けたい場合、その年分の確定申告を行っていたか否かにより還付申請でき
るか否かが違ってきます。
すなわち、既にその年分の確定申告を行っていた場合には1年以上過ぎてから還付申請
は更正の請求となりますので期限切れとなりできません。
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