H29_法人税

平成29年度税制改正 <<法人税>>

1.中小企業経営強化税制の創設
 (1) 概要
    中小企業者等が 「 特定経営力向上設備等 」 を取得等し、指定事業の用に供した場合、即
   時償却又税額控除が認められます。
    この制度は平成26年から平成29年3月まであった 「 中小企業投資促進税制の上乗せ措
   置 」 が改組されたものです。
 (2) 税制措置
   即時償却又は10%(資本金3,000万円超1億円以下の法人は7%)の税額控除の選択適用
 (3) 適用法人
   青色申告書を提出し、中小企業等経営強化法の認定を受けた経営力向上計画に基づいて
   設備等を取得した中小企業者等
 (4) 対象資産(=特定経営力向上設備等)
   ① 取得期間
     平成29年4月1日から平成31年3月31日までの間に取得等し、同期間内に事業供用
    したもの
   ② 特定経営力向上設備等
     中小企業等経営強化法に規定する 「 経営力向上設備等 」 のうち規模要件を満たす以下のもの。
種類 特定経営力向上設備等
経営力向上設備等 規模要件
生産性向上設備(A類型) 収益力向上設備
(B類型)
1個(1基、1台)の取得価額
販売開始時期 収益力向上要件
機械装置 10年以内 生産性が
旧モデル比で
年平均1%
以上向上
年平均5%以上の
投資利益率が見込
まれると経済産業
大臣の確認を受け
た投資計画に記載
されたもの
160万円以上
工 具 (測定工具及び検査工具に限る) 5年以内 30万円以上
器具備品 6年以内 30万円以上
建物付属設備 14年以内 60万円以上
ソフトウェア 5年以内 不要 70万円以上
   ③ 設備取得と計画認定時期の関係
     原則として中小企業等経営強化法の認定を受けてから取得する必要があります。
     ただし、以下の2要件が満たされれば取得後の認定でも認められます。
    ア) 設備の取得日から60日以内に経営力向上計画が受理される。
    イ) 設備の事業供用年度内に経営力向上計画の認定を受ける。
   ④ 留意点
    ア) 原則として中小企業等経営強化法の認定を受けてから取得する必要があります。
    イ) 対象設備は生産等設備を構成するものでなければなりません。
    ウ) 指定事業の用に供された場合に、供用事業年度において特例が受けられます。
    エ) ソフトウェアについては、設備の稼働状況等に係る情報収集機能及び分析・指示機能
      を有するものに限ります。
 (5) 指定事業
   ① 中小企業投資促進税制及び商業・サービス業・農林水産業活性化税制のそれぞれの対
    象事業に該当するもの
   ② 指定事業の中に電気業は入っていないため、売電目的の太陽光発電設備は対象外とな
    っています。
 (6) 税額控除の上限と繰越
   ① 税額控除の上限について、本制度と中小企業投資促進税制及び商業等活性化税制の
    税額控除の合計が法人税額の20%までとなります。
   ② 税額控除限度超過額について、1年間の繰越しができます。
2.所得拡大促進税制の拡充
   雇用者給与等支給額が増加した場合の特別税額控除制度について以下のとおり改正され
  ます。
 (1) 中小企業者等
   ① 適用要件については改正なし
   ② 控除額の拡充
    (ⅰ) 改正前
      雇用者給与等支給増加額×10%
    (ⅱ) 改正後
     ① 平均給与等支給額が比較平均給与等支給額の102%相当額未満の場合
      控除額は改正前と同様
     ② 平均給与等支給額が比較平均給与等支給額の102%相当額以上の場合
      (イ) 雇用者給与等支給増加額×10%
      (ロ) (雇用者給与等支給額-比較雇用者給与等支給額)×12%
       ただし、上式の括弧内の金額は雇用者給与等支給増加額を上限とします。
      (ハ) 控除額 = (イ) + (ロ)

 (2) 中小企業者等以外の法人
   ① 適用要件の厳格化
    (ⅰ) 改正前
     平均給与等支給額が比較平均給与等支給額を超えている
    (ⅱ) 改正後
     平均給与等支給額が比較平均給与等支給額の102%相当額以上である

   ② 控除額の拡充
    (ⅰ) 改正前
     雇用者給与等支給増加額×10%
    (ⅱ) 改正後
     (イ) 雇用者給与等支給増加額×10%
     (ロ) (雇用者給与等支給額-比較雇用者給与等支給額)×2%
       ただし、上式の括弧内の金額は雇用者給与等支給増加額を上限とします。
     (ハ) 控除額 = (イ) + (ロ)

 (3) 適用関係
   平成29年4月1日以後に開始する事業年度から適用されます。
3.その他
 (1) 中小企業投資促進税制の改正と期限延長
   a) 対象設備から「器具備品」を除外した上で、適用期限を2年延長し、平成31年3月31日
    までとします。
   b) 特定生産性向上設備等に係る上乗せ措置は廃止されます。
   c) 税額控除限度額は、本制度、商業等活性化税制、中小企業経営強化税制の合計で法人
    税額の20%となります。
 (2) 商業等活性化税制の期限延長
    商業等活性化税制について適用期限が2年延長されます。
 (3) 地域未来投資促進税制の創設
   a) 地域中核事業計画の認定を受け、一定の設備を取得した場合に、最大40%の特別償却
    又は最大4%の税額控除の選択適用が認められます。
   b) 地域中核事業計画
     都道府県の策定する基本計画に合わせて地域中核企業が総額2000万円以上の投資
    を行う計画を策定し、都道府県や国の認定を受けることが要件の一つとなっています。
 (4)貸倒引当金
    公益法人等及び協同組合等について、繰入限度額が引下げられます。
 (5)営業権の償却限度額の改正
    営業権の取得年度における償却限度額の計算について、従来は年度単位での償却が可
   能であったところ、月割計算で行うこととされました。
 (6) 試験研究費の特別税額控除制度について一定の改正があります。
 (7) 確定申告書の提出期限の延長の特例
   a) 提出期限の延長
     以下の条件を満たす場合は法人税の確定申告書の提出期限を最大4ケ月延長すること
    ができるようになりました。
     この場合は、決算日後6ケ月以内での申告書の提出が可能となります。
   b) 適用条件
    ⅰ) 会計監査人を置いている。
    ⅱ) 事業年度終了の日の翌日から3ケ月以内に定時総会が招集されない旨の定款等の
      定めがある。
    ⅲ) 税務署長の承認を受ける。
 (8) 納税地の異動に係る届出書の提出
    納税地の異動があった場合に、異動後の納税地の所轄税務署長への届出書の提出は要
   しないこととなりました。

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