平成28年度税制改正 <<法人税>> 1.法人税率・法人実効税率の引下げ (1) 法人税率の段階的引き下げ 法人税の税率が以下のとおり段階的に引き下げられます。 イ) 平成28年4月1日以後に開始する事業年度・・・23.4% ロ) 平成30年4月1日以後に開始する事業年度・・・23.2% (注) 現行(平成27年度税制改正)・・・23.9% (2) 法人実効税率の引下げ 外形標準課税適用法人の所得割税率が引下げられること等により法人実効税率も以下の とおり段階的に引き下げられます。 イ) 平成28年4月1日以後に開始する事業年度・・・29.97% ロ) 平成30年4月1日以後に開始する事業年度・・・29.74% (注) 現行(平成27年度税制改正)・・・32.11% 2.減価償却制度の改正 (1) 定率法の廃止 イ) 建物附属設備及び構築物の減価償却方法について定率法が廃止され、定額法のみと なります。 ロ) 鉱業用減価償却資産(建物、建物附属設備、構築物)については定率法が廃止され、 定額法又は生産高比例法の選択制となります。 (2) 適用関係 平成28年4月1日以後に取得したものについて適用 (注)リース期間定額法、取替法等は存置されます。 3.欠損金の繰越控除制度についての見直し (1) 繰越欠損金の控除限度割合の見直し 平成27年度税制改正で講じられた青色欠損金の繰越控除制度及び災害損失金の繰越 控除制度(中小法人等以外)における控除限度額の段階的引下げ措置について、以下のと おり改正されます。 (注)中小法人等の控除限度割合は従来どおり100%のままで変わりません。 事業年度開始日 控除限度割合 H27税制改正 H28税制改正 平成27年4月1日~平成28年3月31日 100分の65 100分の65 平成28年4月1日~平成29年3月31日 100分の65 100分の60 平成29年4月1日~平成30年3月31日 100分の50 100分の55 平成30年4月1日以降 100分の50 100分の50 (2) 欠損金の繰越期間の見直し 平成27年度税制改正で講じられた欠損金の繰越期間に係る以下の措置については、 平成30年4月1日から施行され、同日以後に開始する事業年度において生ずる 欠損金額について適用されます。 (平成27年度改正では平成29年4月1日より施行となっていました。) イ) 青色欠損金、災害損失金の繰越期間を10年に延長する措置(現行:9年) ロ) 繰越控除制度の適用に係る帳簿書類の保存期間を10年に延長する措置 ハ) 法人税の欠損金額に係る更正の期間制限及び請求期間を10年に延長する措置 4.その他 (1) 生産性向上設備投資促進税制は適用期限をもって廃止されます。 ① 機械装置等の「即時償却又は5%税額控除」と建物、構築物の「即時償却又は3%税 額控除」は28年3月31で廃止。 ② 機械装置等の「50%特別償却又は4%税額控除」と建物、構築物の「25%特別償却 又は2%税額控除」は29年3月31で廃止。 (2) 交際費等の損金不算入制度について、 ① 接待飲食費に係る損金算入の特例(接待飲食費の50%損金算入) ② 中小法人に係る損金算入の特例(800万円まで全額損金算入) のそれぞれの特例を含め、適用期限が2年延長されます。 (3) 中小企業者等以外の法人の欠損金の繰戻しによる還付制度の不適用措置の適用期限 が2年延長されます。 (4) 環境関連投資促進税制 ( グリーン投資減税 ) について次の見直しを行った上、適用期 限が2年延長されます。(平成30年3月31日まで) ⅰ) 風力発電設備について即時償却を廃止。 ⅱ) 固定価格買取制度の認定を受けた太陽光発電設備(いわゆる売電用)を対象資産から 除外し、同認定を受けていない設備(10kw以上・自家用)を追加。 ⅲ) 税額控除の対象資産から車輛運搬具を除外。 (5) 中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例について常時使用す る従業員数が1000人を越える法人を除外した上、適用期限が2年延長されます。 (6) 雇用促進税制について、一定の調整を行った上で、適用期限が2年延長されます。