1.減価償却制度の改正 「減価償却関係」を参照して下さい。 2.特殊支配同族会社の役員給与の損金不算入制度の改正 平成18年度の税法改正で新設された 「特殊支配同族会社の役員給与の損金不算入 制度」 (オーナー課税制度)について、適用除外基準である基準所得金額が引き上げられ ます。 a) 基準所得金額 800万円→1600万円 b) 平成19年4月1日以後に開始する事業年度からの適用 3.留保金課税の対象会社の制限 (1) 改正の内容 資本金又は出資金が1億円以下の同族会社については、留保金課税の対象から除外 されました。 (2) 適用 平成19年4月1日以後に開始する事業年度から適用されます。 この結果、留保金課税不適用会社は以下に掲げる会社のみとなります。 (a)資本金等が1億円以下の同族会社 (b)中小企業新事業活動促進法に基づく一定の会社 (平成20年3月31日までに開始する年度) 4.リース取引に係る会計処理の変更とリース税額控除の廃止 (1) 会計基準の改訂 平成18年12月27日に、企業会計基準委員会から 「リース取引に関する会計基準」 が 公表され、これまで賃貸借処理をしていた 「所有権移転外ファイナンス・リース」 につい ては売買取引とみなされ、賃貸借処理が認められなくなりました。 これに合わせて、税務上も次のリース取引については売買とみなされます。 (1) 所有権移転外ファイナンス・リース取引 (2) 平成20年4月1日以後に締結するリース取引 なお、日本で一般にリース取引という場合、ほとんどがこの所有権移転外ファイナンス・ リース取引に該当すると言われており、今後、リース取引は非常に限られたものになると 思われます。 (2) リース取引をした場合の会計処理(賃借人) (A) 原則 a) リース資産を固定資産、リース債務を負債に計上します。 b) 償却方法 リース期間定額法(リース期間を償却期間、残存価額をゼロとする定額法) c) 利息相当額の処理 ⅰ) 原則・・・リース期間にわたり利息法により配分 ⅱ) 例外 リース資産総額に重要性がない場合は次のいずれかの処理も可能とされます。 ア) 利息相当額の総額をリース期間にわたり定額法で配分する。 イ) 利息分を含めたリース料総額をリース資産として計上し、定額法で減価償却費を 計上する。 d) 平成20年4月1日以前に締結したリース契約 同日以後終了する事業年度からリース期間定額法による償却ができます。 (B) 特例 次の場合は賃貸借処理ができます。 a) リース契約1件当たりのリース料総額が300万円以下の場合 リース契約の中に科目の異なる有形固定資産や無形固定資産がある場合は、その 科目毎に300万円以下か否かを判定する。 b) リース期間が1年以内のリース取引 (C) 中小企業の特例 a) 「リース取引に関する会計基準」が強制適用される企業は以下の企業ですので それ以外の中小企業は従来通り賃貸借処理することができます。 ⅰ) 金融商品取引法が適用される上場会社並びにその子会社及び関連会社 ⅱ) 会社法上の大会社(資本金5億円以上または負債総額200億円以上の会社) b) 「中小企業の会計に関する指針」においても賃貸借処理が認められています。 この場合、重要性のないリース取引を除き、未経過リース料を注記します。 (3) 法人税(所得税)における取扱い (A) 資産計上しない場合の取扱い 原則的に売買の処理を要するリース取引において、賃借人が賃借料又はリース料として 経理した場合、税務的には 「償却費」 とみなされます。 従って、リース期間にわたって毎月一定額を賃借料等として経費処理する場合は申告調整 する必要はありません。 (B) リース資産に係る税額控除 平成20年4月1日以後に契約したリース資産については、従来のリース税額控除はなく なります。しかし、リース契約自体が売買とみなされるため、「取得した資産」に適用した税 額控除を適用することができます。 この際の取得価額は「リース料総額」となります。 ◆リース資産に係る税額控除の額◆ 平成20年3月31日以前に契約・・・・リース料総額×60%×7% 平成20年4月 1日以後に契約・・・・リース料総額×7% (C) 特別償却・圧縮記帳の適用除外 リース資産については税額控除の適用はありますが、特別償却・圧縮記帳の適用はあり ません。 (4) 消費税における取扱い(仕入税額控除) (A) 原則的取扱い 消費税においては賃貸借処理した場合を含め原則としてリース資産を売買したとみなして 売買した時点での仕入税額控除を行います。 (B) 例外的取扱い 賃貸借処理している場合にはリース料支払時の仕入税額控除も認められます。 詳細 (5) リース資産に係る固定資産税の申告と納税 リース資産に係る固定資産税については、従来通りリース会社において申告・納税が行 われます。 リース会計基準の変更があってもリース資産の所有権はリース会社にあり、また、リース 料自体に既に固定資産税相当額が加味されているため、償却資産に係る固定資産税に ついては変更されず従来どおりです。 5.役員給与の損金不算入 平成18年度の税制改正で損金に算入できる役員給与は以下の3つでした。 ①定期同額給与 ②事前確定届出給与 ③利益連動給与 今回、その内容について若干の改正がありました。 (1) 定期同額給与について 次の臨時改訂事由によって役員給与の額が改訂された場合には、定期同額給与の範 囲内とされ、損金算入が認められます。 「臨時改訂事由」 ⅰ) 役員の職制上の地位の変更 ⅱ) 役員の職務の内容の重大な変更 ⅲ) これらに類するやむを得ない事情 (2) 事前確定届出給与について 事前確定届出給与の届出期限について、役員の職務に関する決議した株主総会の日 から1ケ月を経過する日とされました。 6.繰延資産の範囲と試験研究費の取扱いの変更 「繰延資産の会計処理に関する当面の取扱い」(企業会計基準委員会が平成18年8月 に公表)において繰延資産の名称と範囲が次のように改訂されました。 (1) 新株発行費→株式交付費 (2) 社債発行費→社債発行費等 (3) 創業費→創立費 (4) 開業費(変わらず) (5) 開発費(変わらず) (6) 試験研究費→繰延資産から除外し即時償却する。 (7) 社債発行差金→繰延資産から除外し社債勘定から直接控除する。 これを受けて税法上は次のように改正されました。 (1) 税務上の繰延資産の範囲から試験研究費と社債発行差金を除く (2) 平成19年4月1日以後に支出する試験研究費は繰延資産とせず即時償却する