1.法人の分類と公益法人 一般的に法人を営利性、公益性の観点から分類すると次のようになります。 (1)営利法人 ・・・営利を目的とする法人 株式会社、合資会社、合名会社等 (2)公益法人 ・・・公益を目的とする法人(広義の公益法人) ⅰ 民法第34条に基づいて設立される社団法人及び財団法人(狭義の公益法人) ⅱ 特別法に基づいて設立される法人 学校法人(私立学校法)、社会福祉法人(社会福祉法)、宗教法人(宗教法人法) 医療法人(医療法)、特定非営利活動法人(NPO法人 特定非営利活動促進法)等 (3)中間法人 ・・・営利も公益も目的としない法人 ⅰ 中間法人法に基づいて設立される中間法人 ただし、中間法人法は「一般社団・財団法人法」の施行に伴い廃止され、中間法人法 に基づく「中間法人」は今後なくなります。 ⅱ 特別法に基づいて設立される法人 労働組合(労働組合法)、信用金庫(信用金庫法)、協同組合(各種の協同組合法) 共済組合(各種の共済組合法)等 2.公益法人の会計 平成18年4月1日から開始する事業年度より新公益法人会計基準が適用されます。 この会計基準は民法第34条に基づいて設立される公益法人に適用されます。 この基準では次の書類(財務諸表)を作成しなければならないことになっています。 ⅰ 正味財産増減計算書(フロー式) ⅱ 貸借対照表 ⅲ 財産目録 ⅳ キャッシュ・フロー計算書(大規模法人) (注1) 収支計算書については、財務諸表の中には入っていないが、従来同様作成しなけ ればならないこととなっています。 (注2) 正味財産は、一般正味財産と指定正味財産とに区分され、それぞれの区分ごとに 増減原因が明確になるように正味財産増減計算書を作成しなければなりません。 また、正味財産の増減を経常と経常外とに区分して記載しなければならず、より企業 会計の損益計算書に近づいたものとなっています。 (注3) キャッシュ・フロー計算書を作成しなければならない大規模法人とは、次のいずれ か一つに該当する法人です。 ⅰ 資産の合計額が100億円以上 ⅱ 負債の合計額が50億円以上 ⅲ 経常収益の合計額が10億円以上 (注4) 新公益法人会計基準は企業会計の費用、収益の考え方を採り入れています。 具体的には次のようなものが挙げられます。 ⅰ 減価償却の強制適用 ⅱ リース取引の会計処理 ⅲ 退職給付会計 ⅳ 有価証券の評価 ⅴ 貸倒引当金の計上 ⅵ 税効果会計 ⅶ 外貨建取引の会計処理