1.中小企業とは (1) 法人税法における中小企業 法人税法では資本金が1億円以下の会社を中小企業とし、資本金1億円超の 大企業と比べて各種優遇税制を設けています。 (2) 中小企業基本法における中小企業 小売業→資本金5000万円以下又は従業員50人以下 サービス業→資本金5000万円以下又は従業員100人以下 卸売業→資本金1億円以下又は従業員100人以下 製造業・建設業・運送業等→資本金3億円以下又は従業員300人以下 ※従業員とは常時雇用する従業員をいいます。 (3) 会社法における中小企業 資本金5億円以上または負債総額200億円以上を大会社、他を中小会社としています。 (4) 相続税法における中小企業 相続税法では中小企業という用語は使用しませんが、非上場株式の評価において 会社を「大会社」「中会社」「小会社」に区分しています。 区分の基準として、従業員数、直前期1年間の売上高、総資産額を用いています。 2.中小企業の優遇税制 (平成20年4月1日現在) 資本金が1億円以下(中小企業)の場合と1億円超の場合を比較し、税務上の主な相違点を 一覧で示してみます。 項 目 資本金1億円以下の会社 資本金1億円超の会社 1.所轄部門と税務調査 税務署 国税局 2.法人税の税率 課税所得 800万円以下→22% 800万円超→30% 30%(一律) 3.法人県民税 法人税割の税率 標準税率=5% (法人税額が1000万円超 の場合には超過税率) 超課税率=5.8%~6.0% (静岡県については標準 税率のまま) 4.法人県民税 均等割 (標準税率の場合) 資本等の金額が 1千万円超1億円以下 → 5万円 資本等の金額が 1億円超10億円以下 → 13万円 5.法人市町村民税 均等割 (標準税率の場合) 資本等の金額が 1千万円超1億円以下の場合 従業者数50人以下→13万円 従業者数50人超→15万円 資本等の金額が 1億円超10億円以下の場合 従業者数50人以下→16万円 従業者数50人超→40万円 6.法人事業税 外形標準課税 (標準税率の場合) 外形標準課税の適用無 ① 課税所得 ×9.6% 外形標準課税の適用有 (赤字の場合でも課税される) ① 課税所得 ×7.2% ② 付加価値額 ×0.48% ③ 資本等 ×0.2% 7.交際費 年間400万円以下の部分は 90%を損金に算入 全額が損金不算入 8.留保金課税 適用無 特定同族会社に該当すれば 留保金課税の対象となる 9.貸倒引当金 法定繰入率による繰入が一括 評価債権について認められる 貸倒実績率による繰入のみ 10.情報基盤強化税制 対象資産の金額基準 70万円以上 対象資産の金額基準 3千万円以上 11.少額減価償却資産 (30万円未満の即時償却 適用有 (即時償却可) (1事業年度300万円を限度) 適用無 (即時償却不可) 12.中小企業投資促進税制 ◎機械装置 →160万円以上 ◎電子計算機等 →120万円以上 ◎その他 適用有(次のいずれかを選択) 特別償却→取得価額×30% 税額控除→取得価額×7% (注) 税額控除は資本金3千 万円以下の場合に限る 適用無 13.中小企業技術基盤強化 税制 (試験研究費の税額控除 制度のうち特に中小企業 のために認められた制度) 適用有 適用無 14.中小企業等基盤強化 税制 (卸売業・小売業、特定の サービス業等が一定の機 械装置等を取得した場合 適用有(次のいずれかの選択) 特別償却→取得価額×30% 税額控除→取得価額×7% 適用無 15.人材投資促進税制 (教育訓練費の一定割合 の税額控除) 適用有 中小企業についての特例措 置の適用有 適用有 ただし、中小企業についての 特例措置は適用不可 16.欠損金の繰戻還付制度 次の場合は適用可 ① 設立事業年度の翌年から 5年以内に生じた欠損金 ② 中小企業経営革新支援法 における経営革新計画の承認 を受けた一定の中小企業者 適用無 (注1) 11~16については資本金要件の他に大規模法人の子会社を除く、などの株式要件 もあります。 (注2) 4、5における資本等とは資本金と資本積立金の合計額をいいます。